「あまちゃん」

カーネーション」は傑作だった。老糸子篇は今ひとつだがそれを差し引いても傑作だった。一方「あまちゃん」は今のところ大成功の痛快娯楽作。クドカンらしさと朝ドラらしさを両立していて、毎朝楽しい。

主役は能年玲奈ちゃん。この子がホントに可愛くて愛おしい。あどけない笑顔、戸惑ったときのアヒル口と潤んだ目。演技経験は浅いはずなのだけど、笑いの「間」は分かってる感じで、良いコメディエンヌぶりを発揮している。

アキの親友ユイちゃん役の橋本愛ちゃんがまたクールビューティーで素敵。対照的なふたりアキとユイコンビの百合っぽさも私的にはたまらない(;´ д`)

そして影の主役が母役のキョンキョン。母と言うより姉のような感じだけど。パチンコ屋やスナックのママが似合いすぎるやさぐれ感。それでいてかつて地元高校生の憧れの的だったというのも納得させるだけの可愛らしさと華やかさがある。

そして「なんてったってアイドル」だったキョンキョンに、『かつて聖子ちゃんに憧れていた田舎の元ヤンキー』という役どころを敢えてやらせるクドカン脚本にニヤニヤ。80年代ネタも私の世代にはドンピシャ。

過去のクドカン自身の作品やら過去の朝ドラのパロディも随所に。ばあちゃんと孫という構図やいきなりヒロインが海に飛び込むところは「てっぱん」だし、先日は食卓を「11人」で囲むシーンがあったり(「11人もいる!」のセルフパロディ)、キョンキョンのダンナ役尾美としのりの職業がタクシー運転手ってのは「マンハッタンラブストーリー」だし。

クドカン人脈のキャスト、荒川良々はじめ大人計画の面々は味濃いぃし、杉本哲太さん、吹越満さんや海女仲間もみんな芸達者。

そしてそして、忘れてはならないのが真の主役、宮本信子さん。さすがあの伊丹十三監督の奥様だっただけあって、クドカンの小ネタくらいじゃびくともしない器の大きさ。ナレーションも聴きやすいし、頑固さと可愛らしさ両方持ってる夏ばっぱを素敵に演じていらっしゃる。「朝ドラらしさ」は宮本さんがいるからこそ保てている、というよなレビューをどなたかが書いてたけどその通りだと思う。

今後の展開はどうなるのか。東京編もチラチラとネタバレを見る限りでは面白そう。問題はその後で、クドカンが震災をどう描くか。楽しみなような怖いような、期待と不安が入り混じる。クドカンなので暗くなりすぎることはないと思うが…。